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【奈良】#18 どんな環境で生まれても人々が笑顔でいられる社会を目指す「おてらおやつクラブ」

日本全国でがんばっている女性を紹介する「のぼり坂47」プロジェクト。今回は、奈良県で子どもの貧困問題解決のために尽力されている「特定非営利活動法人おてらおやつクラブ」の坂下佳織さんに聞きました。

全国のお寺と支援団体をつないで、毎月1万人以上の子どもたちに「おそなえ」を「おすそわけ」

「おてらおやつクラブ」は、お寺の「おそなえ」を仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力のもと、経済的に困難な状況にあるご家庭へ「おすそわけ」をする活動です。

活動趣旨に賛同する全国のお寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体とをつなぎ、支援の必要なご家庭にお菓子や果物、お米などの食品や日用品をお届けしています。

現在おてらおやつクラブにご登録いただいているお寺は1,450寺院、支援団体は459団体です(2020年5月現在)。47都道府県すべてにおてらおやつクラブに登録しているお寺と支援団体があり、おやつを受け取っている子どもは月に1万人以上になりました。


事務局のある安養寺の「おそなえ」


仏さまから「おさがり」としていただき、箱詰めします


「おすそわけ」にはお手紙を同封しています

ただ、全国には7万を超えるお寺があり、貧困状態にある子どもは約280万人いるとも言われています。もっともっと活動を広げていく必要性を感じています。

日本では、子どもの7人に1人(※)が貧困状態にあります。さらにひとり親世帯では、2人に1人が貧困状態というデータがあり、国内の貧困問題は深刻です。(※平成28年 国民生活基礎調査(厚生労働省))

しかし多くの方は、「こんな飽食の時代に日本に貧困なんて本当にあるの?」と思われているのではないでしょうか。この問題が表面化されていない、つまり「見えない貧困」が、問題解決をさらに難しくしています。

日本の貧困は、発展途上国などで見られる、生存に関わるようなものではありません。ただ、食生活や服装が一見普通に見えても、実は家計に余裕がなく、ギリギリの生活を強いられている子どもがたくさんいます。「他の子が当たり前にできること(部活動や学習塾、修学旅行や娯楽など)が自分にはできない」という絶望感を抱いている子どもは少なくありません。

この絶望感は大人が想像する以上に深く、子どもの健全な成長において非常に大切な「自己肯定感」を損ねてしまう危険性があります。さらに、貧困は子ども世代・孫世代へと連鎖すると言われていて、早期に断ち切る必要があります。


支援団体へ届いた「おすそわけ」は、ご家庭やお子さんへ届けられます


事務局に届いたお礼のお手紙

子どもたちが笑顔で暮らせる社会を目指して、ITを駆使してボーダレスに活動中

おてらおやつクラブの事務局は、奈良の田原本町「安養寺」というお寺の中にあります。お寺の周りには延々と広がる田んぼ。近くには地場野菜や特産品を売る道の駅があります。現在、お寺の玄関ではツバメが巣作りの真っ最中。すごくのどかな環境です。

そんなのどかな風景からは想像できないほど、ITシステムやツールを駆使してボーダーレスに活動中。オンライン会議ツールのZoomをはじめ、Slack(チームコミュニケーションツール)、セールフォース(営業支援ツール)、メールワイズ(メール管理システム)などのITツールを駆使して、日本全国とつながり、さらには、世界ともつながっています。田舎のお寺に事務局をおく活動が日本の子どもの貧困という大きな社会問題と向き合うことができるのも、ITツールがあってこそです。


おてらおやつクラブ事務局メンバーzoom会議(2020年3月撮影)

ただし、貧困問題は一足飛びに解決できるものではありません。私たちの活動は砂漠に水を注ぐようなものかもしれず、問題解決にまったく貢献できていないと悩むこともあります。それでも少しでも目の前の子どもたちを救いたい、という一心で日々活動しています。

幸運にも私たちの活動は社会的にも評価され、2018年には「グッドデザイン大賞」を受賞しました。世界3大デザイン賞の1つで大賞をいただいたことに、喜びとともに活動の意味の大きさを感じ、期待の大きさ、責任の重さを再確認しました。今では、海外からのお問い合せや寄付、講演依頼もあり、日本国内だけでなく、アジア・世界が注目する活動にもなっています。

ひとり親家庭で育ち、母となった今だからこそ、その大変さを支えていきたい

私自身、ひとり親家庭で育ちました。思い返してみると、確かにジュースやお菓子は買ってもらえず、絵具セットや裁縫セットも、友達とは違う物。少し恥ずかしかった記憶はありますが、「苦労をした」記憶はありません。それはきっと母が私たちが知らないところで、がんばって育ててくれたから。私も今では母になり、家事・子育て・仕事、すべてをひとりですることの大変さを実感しています。

そんな私が「おてらおやつクラブ」に出会ったのは、約6年前。友人のSNS投稿で立ち上げたばかりのおてらおやつクラブを偶然知りました。「私が子どものころにこの活動があれば、母もサポートを受けることができたかもしれない」。そう感じ、おてらおやつクラブのお手伝いをするようになりました。

そして約4年前、代表の松島から「事務局スタッフとして事務をしてほしい」と声を掛けてもらって。「今、ひとりでお子さんを育てているお母さんのサポートができれば」と思い、引き受けることに決めました。

現在は、おてらおやつクラブ事務局に日々届くメールの対応や「おすそわけ」の発送、法人運営サポートの業務をしています。


おてらおやつクラブ事務局メンバー(2017年5月撮影)

おてらおやつクラブの活動を知ったたくさんの方から、心のこもったおそなえが安養寺に届きます。なかには気持ちを綴った手紙を添えてくださる方も。まさに人のやさしさ、温かさを感じる瞬間です。大切にお預かりし、仏さまにおそなえをした後、必要とされている所にお送りしています。

普段はボランティアさんにもお力添えいただきながらの活動ですが、現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、事務局でのボランティア活動はストップしています。そんな中、ボランティアさんから郵送でおそなえが届くことも。離れていても、おてらおやつクラブやその先にいる子どもたちへお心を寄せてくださっていることが何より嬉しい。人の温かみを感じながら仕事ができていて、毎日充実した日々を過ごしています。

2020年3月には、正職員が私を含めて2名になりました。いずれは雇用の面でも、ひとり親家庭をサポートできるような組織作りをしていきたいです。

特定非営利活動法人おてらおやつクラブは、名前の通り「非営利団体」として活動しています。収入の大部分をご寄付で支えて頂いているのですが、現在の厳しい社会情勢の中でご寄付が集まりにくい状況にあり、活動資金の確保も直近の課題と感じています。

全国の女性へのメッセージ

私が「おてらおやつクラブ事務局」に声をかけてもらった時、実はまだ前の会社の正社員として事務の仕事に就いていました。

私自身、失敗やミスを怖がってしり込みするタイプ。変化を怖がり、安全な方、安定している方を選んで生きてきました。たとえば、受験でも、がんばらないと行けない志望校を受験するより、落ちるリスクが怖くてランクを落とすタイプ。だから、正社員の仕事を辞めて当時任意団体だった「おてらおやつクラブ」にいくということは、私の中ではかなりのチャレンジでした。

でも「やってみたい!」という気持ちに正直に、挑戦してみてよかったと思っています。チャレンジすることで得た“たくさんの人との出会い”が、今の私の財産になっています。

もし挑戦することに悩んでいるなら、「えいやっ!」と飛び込んでみてほしいと思います。

★好きな言葉★

もらえば幸せ あげればもっと幸せ

おてらおやつクラブの事務局メンバーのお坊さんから教えてもらった「布施」を表現した言葉です。

「お布施」というと、お寺やお坊さんに払うお金だと感じている人も多いでしょうが、必ずしもそういうことではありません。「施す(ほどこす)こと、恵み与えること、てばなすこと」だそうです。

私は熱心な仏教徒というわけではありませんが、お坊さんたちが教えてくれる『仏教の教え』が、気付きになったり、心にしみることもよくあります。社会状況が不安定な今、先の見えない不安から買占め等も起こっていると聞きます。今、自分にできる「布施」をしていきたいと思っているところです。


他にも心にしみる言葉がたくさん

*私たちの活動に賛同してくださる方のご協力をお待ちしております。

毎月1,000円のご寄付で、1年間に12世帯へ「おすそわけ」できます。

ご寄付について、詳しくはこちらから

 

 

ホームページURL https://otera-oyatsu.club/

「おてらおやつクラブ」は、お寺にお供えされるさまざまな「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力の下、経済的に困難な状況にあるご家庭へ「おすそわけ」する活動です。活動趣旨に賛同する全国のお寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品をお届けしています。

 

 

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