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【鹿児島】#61 伝統芸能・女性棒踊りを復元、継承する「奄美蘇刈チュクテングァ勉強会」

日本全国でがんばっている女性を紹介する「のぼり坂47」プロジェクト。今回は、鹿児島県で約30年間途絶えていた伝統芸能の女性棒踊りを復元し、継承、発表する「奄美蘇刈(そかる)チュクテングァ勉強会」のリーダー・才木美貴さんに聞きました。

奄美大島・蘇刈集落に伝わる伝統芸能・女性棒踊りを継承し、発表

奄美蘇刈チュクテングァ勉強会は、奄美大島に伝わっている伝統芸能・女性棒踊り(蘇刈集落では、正式名をチュクテングァと呼んでいます)の継承と練習、発表を行っています。


奄美蘇刈チュクテングァの踊りの動画はこちら

今でもその振り付けや唄をマスターしているかといえば、まだまだなところもあると感じています。それは、チュクテングァ自体が完成されたものとは思っていないからです。
個人的に伝統芸能によく感じるのですが、回数を重ねるごとに工夫や改善をしていき、元の形とは変化することがよくあります。
チュクテングァも同様にそういった傾向が見受けられるのです。

勉強会では、原型をなるべく復元し、継承していくことを指針にしています。

もしかしたら今後、「そこは昔はこうだった」という意見が出てくるかもしれません。そのときは、その声を素直に受け入れる態勢を取りつつ、柔軟に継承していく。このように、伝統を受け継ぐ活動をしています。

ひと目惚れした奄美の男性棒踊りに、女性版があると教えてもらったことがきっかけに

もともと私は大阪出身なのですが、地域おこし協力隊として5年前に奄美大島の蘇刈集落にやってきました。そこで見たのが1919年から続く、男性の棒踊り。青年団が踊る棒踊りはとても勇壮でカッコいいんです! 私はひと目見て惚れ込みました。

それを踊り続けている彼らから、「蘇刈には女性の棒踊りがある」、「とても華やかでカッコよかった」という話を聞いたのが、チュクテングァに興味を持ったきっかけです。

カッコいい踊りを行う人たちが「カッコいい」というから、どれほどすごいのだろうとワクワクしました。また、男性の棒踊りに少し参加してみたい想いがあったものの、力負けするから難しいな…と残念に感じていたときに聞いた話だったので、「私にもできる棒踊りがある!」と光のようにも感じたのです。

でも、難点だったのが約30年間踊られていなかったこと。


踊られていた当時の写真。

チュクテングァの話を聞いてから、当時の踊りを知る人に聞き取りをはじめたのですが、私ひとりでそれをはじめたことと、踊っていた人が90歳前後だったこともあり、記憶を引き出す作業には苦労しました。

さらに、島口(しまぐち)と呼ばれる方言で話されることも多くて…。それはまさに外国語を聞いているかのような、標準語とは全く異なる言葉なんです。だから、「これは無理かも」という思いもよぎりました。

幸いにも参加したいという若手の声があり、芸能に詳しい人、島の言葉を理解できる人、集落出身の人…と少しずつ集まってくれたことで、徐々に形ができあがっていきました。

運よく人が集まってくれましたが、実は、私から積極的にチュクテングァに参加する人を集めていなかったんです。

というのも、声をかけると婦人会などの団体活動かと思われて、義務感が発生するように感じたからです。

それに、チュクテングァは見本があって見本通りにやればいいものではありません。
途絶えていたものを復元し、継承していくものなので、現場では「あーでもない、こーでもない」と押し問答が繰り広げられます。それに忍耐強くついてきてもらうには、やりたい気持ちの強い人でないとやり遂げられません。

そういうこともあって、積極的に声をかけていませんでした。

最初のうちは、どんな踊りかもわからない、唄もわからない、ちぢん(島の伝統楽器で太鼓のこと)もわからない状態。聞き取りを手がかりに組み立てていくような作業の連続だったので、人手がそれほど必要なかったこともあったんですけどね。

もちろん、人がいなかったらチュクテングァの復元はたしかに難しいことなのですが、そもそも、無理矢理人集めをしても続かないので、そこまでしてやるつもりは最初からありませんでした。だから、人が来てくれてありがたかったです。

ちなみに、復元作業をしているなかで、島口のわからなさを表すエピソードのひとつに「ゆでさー」の話があります。

教えてもらっているおばあちゃんにずっと言われ続けていたのですが、さっぱりわからなくて。しかも、それをそこまで重視していなかったんですね。

それで、島口がわかる人が参加するようになって、「『遅い』って言ってる」って教えてくれました。
意味がわかって「なんだ! そうだったのか!? だからかー!」と、とてもスッキリしたことを覚えています。

踊りを教えてくれているほうは「方言のニュアンスを大事にしたい、だから方言で伝えている」と思っていたはず。わからないからといって軽視してしまわないよう、これからも気をつけたいと思っています。

男性でも観光客でも参加できるようなオープンな伝統芸能にしていきたい!

蘇刈集落の伝統はカツオ漁船で賑わっていた集落であったこともあり、あくまで想像ですが、よその文化を取り入れるのが上手な集落だったのではないかと思っているんです。

変化を嫌うのではなく、いいと思えば取り込む。そうして、自分たちの伝統芸能にしていった先輩方を見習って、誰でも参加できる、誰でも見られるものにしよう、逆に「こうあるべき」は極力避けようとか、そんな気持ちを大切にしていきたいです。

もとから私自身が地域のお祭の盆踊りに出たり、旅行先の伝統芸能を見ることが好きだったこともありますが、奄美蘇刈チュクテングァも、オープンな芸能であることを忘れないようにしたいと思っています。

だから、女性版棒踊りだけど、やりたかったら男性だっていいと思っているんですよね。実は、練習には参加してくれた人もいらっしゃるんです。いつかは本番に参加してもらえたらうれしいです。
それにたとえば、踊るのが得意とか、歌うのが得意という人だったら、観光で来た方でも参加してもらえたら…なんてことも考えています。

ただ、そのためには土台が必要です。祭りに参加するとはどういうことなのか、「豊年祭・敬老会」で踊る意味を理解していただいたうえで「やってみたい」と思ってもらえるように、こちらが発信していかなくてはいけないとは思っています。

祭りって自分が楽しめたらとか、自分が主役のような感覚がどこかにあるように感じるのですが、「敬老会」とついているので、敬老のための祭りでもあるんです。
だから、目の前のおばあちゃん、おじいちゃんを喜ばせる・楽しませる、その姿を見て、こっちも楽しいなと思ってくれるような、そういう意識を根付かせられるように今後も活動していけたらいいなと考えています。

全国の女性へメッセージ

ひとりで抱え込まないで、常に状況・状態を仲間や家族に共有することを忘れないでほしいです。

自分の不安な気持ち、まとまらない計画、つまずいていること、気になっている問題、そういったことを素直に言える状態でいれば、少なくとも精神の安定は保たれるのかなと思います。

副作用として、周囲が気にかけてくれたり、応援してくれたり、手伝ってくれたりするかもしれないです。
特に地域ごとの場合、何をしているのかわからないとまわりに見られるのは少々危険なことなので、可能な限り弱音もオープンにしていくといいと思います。

 

★好きな言葉★

ありがとう

感謝の言葉なので、「いいな」とは思っていましたが、この言葉を言える精神状態ってとっても大事だなと思っています。相手のことを敬えないと、自分に素直じゃないと言えない言葉ですから。

 

奄美大島・蘇刈集落の伝統芸能・女性棒踊りを継承する「奄美蘇刈チュクテングァ勉強会

奄美大島の南東端にある蘇刈集落の力強く華やかな女性版棒踊り【チュクテングァ】の継承活動をしています。

facebook:https://www.facebook.com/amamisokaru

 

のぼり坂47では、全国各地で活躍する女性・団体を募集中! 応募方法など詳しくはこちら

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