アロマの香りと効能は更年期の強い味方!調香師・田主松愛さんに、その活用法をお聞きしました【アラフォー女子のからだ百科:ニオイ④】

こんにちは。女子部JAPAN(・v・)のアリです。
香水は女性の気持ちを高めてくれたり、リラックスさせてくれたり、ときには前を向くきっかけをくれることも。その中でも「天然アロマ」とよばれる植物由来の天然香料は、香りを楽しむのにプラスして、さまざまな効果効能が期待できます。
そこで今回は、更年期を迎える女性におすすめのアロマについてご紹介。調香師である田主松愛さんに、私たちのライフスタイルへの取り入れ方についてお聞きしました。
<お話を伺ったのは…>
調香師 田主松 愛さん
a’point(アポワン)主催。世界的にも珍しい、100%天然素材でつくる香水の調香師資格を取得。オーダーメイド形式で、世界にひとつだけのパーソナルな香りを調香し、提案している。誰でも手軽に調香が楽しめる講座のほか、クライアントに調香サービスを提供するプロフェッショナル講座などを開講。
田主松さんのインスタグラムページはこちら。
上手に使い分けるのがベスト!
香水には、天然香料と合成香料があるのをご存知ですか?
天然香料とは、自然界に存在する植物を原料に抽出された香料のこと。一方で合成香料とは、石油などを原料にして、人工的に精製・製造された香料のことです。
大きな特徴の違いは、その香りの持続性にあるといいます。合成香料でできた香水は、朝にツープッシュ程度つければ、夜までしっかりと香りが持続します。一方で天然香料のみでつくられた香水は、肌にまとうと5〜10分ほどで余韻の香り(ベースノート)まで感じることができ、香りは自然に消えていきます。
「自分では動くことができない植物は、太古の昔からその環境にあった生きる手段を見つけて、強く、たくましく、美しく生き続けているんです。その恵みのエッセンスが込められているのが、天然香料です。天然香料は、人工的に作られた香りとは違い、ワインのように香りが少しずつ熟成していきます。また、植物がそれぞれに個性があるように、作られた場所や時期によって、同じ香りは二度とできないのです。つまり、一期一会の香りと出会えるのが、魅力でもありますね」
天然香料にも合成香料にも、それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらがいいというのは一概には言えません。田主松さんがおすすめするのは、2つを使い分ける方法。1日しっかりつけたいときは合成香料の香水を、仕事などであまり強い香りを身につけられない場合には天然香料を選ぶといったような具合です。
「天然香料であるアロマは、香りが強くなく、持続性が弱いのがデメリットの1つですが、逆に言えばつけすぎてしまう心配がありません。
香りが長く残らないので、周囲の人に気を配らないといけないシーンでも安心してつけることができたり、気分転換に一日に何度もつけることも。一方で、香りを共有してもらいたい人に会うときは、会う直前にさっとつけるのが、個人的にはおすすめです」
前向きな気持ちも高められる
アラフォー世代特有のミドル臭や、更年期前後の加齢臭など、女性でも自分の発するニオイは気になるものです。
ロート製薬の研究によると、10〜20代の体臭には女性特有の甘い香りが存在し、それは「ラクトン」という成分によるものだということが分かりました。しかし、このラクトンは30代から減りはじめ、年齢とともに体臭に変化があるそうです。
「ラクトンによる甘い香りを取り戻すことはできませんが、香水で少しプラスしてあげることはできます。そこで、この時期におすすめなのが、キンモクセイやピーチの香り。甘い香りを身にまとうことによって、気分も上がって前向きになれますよ」
また、香りをプラスするだけではなく、香水をつける土台となる肌を整えることも大切。半身浴やストレッチなどの適度な運動で汗をかく習慣をつける、食事面では油の摂りすぎに注意するなどして、健康的で潤いのある肌をキープしましょう。ストレスを多く抱えればストレス臭、睡眠不足では疲労臭なども気になるとのこと。日頃から生活習慣を見直してみることも必要です。
「年を重ねるとともに、ニオイが変化するのは仕方がないこと。それを歳のせいだと諦めるのではなく、自分でできることをやってみてはいかがでしょう。適度な運動をして汗をかく、睡眠をしっかりとる、ストレスとの向き合い方を工夫するなどすると、少しでもニオイの原因を減らすことができるかもしれません。前向きになる香り、元気になる香り、背中を押してくれる香りなど、気分を高めてくれる香りは、ストレス臭の軽減にもつながる場合もあるので、意識して取り入れてみてくださいね。」
3種類の天然アロマとは
PMSや生理不順、更年期特有の諸症状など、さまざまな悩みを抱えている女性も多いのではないでしょうか。天然アロマを上手に使ってあげることで、症状が和らいだり、気持ちが少し軽くなるかもしれません。
田主松さんが更年期を迎える女性におすすめしてくれたアロマは、以下の3種類。
①クラリセージ
PMS(月経前症候群)や生理不順、更年期症状などの原因となる女性ホルモンの調整作用が期待できるアロマ。少しほろ酔いになった気分になるので、夜眠る前に使うのがおすすめです。ただし、香りは少しクセがあり、好みが分かれるかもしれません。
②ゼラニウム
女性に味方のアロマ。クラリセージと同様に、女性ホルモンの調整作用が期待できます。夜だけに限らず、昼でも使うことができます。ホルモンに作用するアロマなので、月経前・月経中・月経後で感じる香りが変わるのも特徴。PMSや更年期で気分が沈んでいるときに、気分が上げてくれる香りです。
③ローズ
天然アロマのローズの香りは格別です。更年期など体の変化によって、女性としての自信をなくしてしまう人も多いので、この時期に女性として肯定してくれる、幸せにしてくれるなどの効果があります。
「アロマを楽しむ際にお手軽なのが、ティッシュを使う方法。ティッシュにアロマを1滴垂らして、それを眠る前にクンクンと嗅いで眠るだけでOKです。
また、眠れないときなどは、手浴に使ってみるのもおすすめ。洗面所や洗面器にお湯を張って、そこに2〜3滴垂らして、手をしばらく浸けましょう。ホホバオイルや無香料のクリームなどにアロマを1滴垂らして、胸元をマッサージするだけでも気持ちいいですね」
アロマの効果効能とは
天然香料と合成香料は、それぞれにメリットとデメリットがあり、使い分けをするのがおすすめですが、注目してほしいのが天然アロマの効果効能だと田主松さんは言います。
「合成香料の香りは、“いい香り〜、幸せ!”という気分にさせてくれますが、実はそこまで。一方で天然アロマは、香りによってリラックス効果があるのに加えて、香りによる効果効能が期待できます。香りを嗅ぐとそれがダイレクトに脳に届き、自分ではコントロールできないメンタル面などに効果があると言われています」
天然アロマは、空間で使うことでもさまざまな効果を得ることができます。たとえば、リモートワークや読書をする際に最適なのが「ローズマリー」。集中力を高めたり、やる気が出たりといった効果が期待できます。また、眠る前にリラックスしたいときは、定番のラベンダーもよいですが、懐かしい香りや安心する香りもおすすめとのこと。
「香水は自分自身が楽しむものですが、空間で使う場合は、選び方を少し気をつけてみましょう。ご家族やパートナーがいるのであれば、みんなが楽しむことを意識してみてくださいね」
広いリビングルームなどでは、香りが広がる「ユーカリ」など木のアロマは最適だそう。空気を浄化してくれる作用があります。また、玄関は誰にでも広く好まれる「グレープフルーツ」や「ベルガモット」の香りもいいそう。比較的好き嫌いが少なく、明るく前向きになれる香りです。ニオイがこもりがちなトイレは、爽快感のある「ペパーミント」がよいそうです。
<田主松さんおすすめの空間×アロマの組み合わせ>
田主松さんによると、香料の中でも天然アロマを選べば、精神的なリラックス効果が得られたり、自分が心地よいと思う香りを嗅ぐことで、自律神経やホルモンバランスが整うといった効果が期待できるといいます。また、空間にアロマを使えば、暮らしの質が向上することも。
香りを上手に取り入れることで、自分が持っている“ニオイ”へのコンプレックスをなくしたり、自信につながったりといった効果も期待できるかもしれません。ぜひ、天然アロマをはじめとした香りのメリットを取り入れてみてくださいね。