Catevory
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

突然、生理になったときにも安心!生理用ナプキンを無料で提供する『OiTr(オイテル)』

「急いでいるときに突然生理になってしまい、生理ナプキンがなくて困った」みたいな経験ってありませんか?そんなときにトイレに生理ナプキンが常備されていたら便利ですよね。
女性にとって生理用ナプキンをはじめとする生理用品は、トイレットペーパーと同じように生活必需品です。しかし女性だけの問題だからとこれまで注目されることはあまりありませんでした。

そんなジェンダーギャップを解消すべくスタートしたサービス「OiTr(オイテル)」は、個室のトイレに設置された専用ディスペンサーで生理用ナプキンを無料で提供してくれるサービスです。ジェンダーギャップを軽減するために活動するオイテル株式会社が目指す社会とはどんな社会なのでしょう。専務取締役COOの飯﨑 俊彦さんに話を聞きました。

★連載企画「のぼり坂47f」では、女性ならではの健康課題と向き合い、より良くするために取り組んでいる人や商品、サービスなどを紹介しています。

(テキスト:女子部JAPAN(・v・) 編集部 おぜき)

個室トイレで生理用ナプキンを無料で利用できる「OiTr(オイテル)」とは?

――生理ナプキンを無料で利用できると聞いて、どんな仕組みで成り立っているのかが気になりました。まずは、『OiTr(オイテル)』とはどのようなサービスなのか教えてください。

OiTr(オイテル)は、商業施設やオフィス、学校、公共施設などの個室トイレに、生理用ナプキンを常備し無料で提供するサービスです。アプリに登録いただければ、どなたでも無料でご利用いただけます。現在、関東を中心に、池袋PARCOや渋谷モディなどの商業施設から、板橋区役所、町田市役所などの公共施設や大学キャンパスなど、93ヶ所(1,215台)の施設で導入いただいています(2022年3月現在)。

――具体的には、どのようにすれば利用できるのでしょう?

OiTrはスマートフォンをお持ちの方でしたらどなたでも以下のようなステップでご利用いただけます。

1. 個室トイレ内の壁に掲示してあるQRコードを読み取りOiTrアプリ(無料)をダウンロードします。
2. アプリを起動し、画面の取り出しボタンをタップし、スマートフォンを専用のディスペンサーに近づけます。
3. 取り出し口から生理用ナプキンが1枚無料で出てきます。

 


△専用ディスペンサー

――ディスペンサーに流れるCMを見るとナプキンが出てくるのでしょうか?CMを見ることでトイレは混雑しませんか?

ナプキンを使用するために強制的に動画広告が流れるわけでありません。SNS などの情報で、動画広告を見ないとナプキンが出てこないと誤解されている方もいるようですが、 便座に人が座った際にセンサーが感知して広告が自動で流れる仕組みとなっています。広告が流れる時間もトイレの平均滞在時間にあわせて上限を設定しているため、この広告によってトイレの混雑を助長するようなことにはなりません。

――人によってナプキンにこだわりのある方もいると思うのですが、どんなナプキンが出てくるのでしょうか?

こちらもリサーチしたデータをもとに、多い昼用(羽根つき)のものを用意しました。現在提供している商品名は液晶モニターの画面下に表示されています。

――多い昼用が常備されているのは女性としてとても助かります!女性にとって無料で生理用ナプキンが利用できるというのはとても嬉しいサービスですが、私は、経済的には自分の生理用ナプキンは自分で購入することができます。そんな私でも利用していいものなのでしょうか?

もちろんです。必要としている方々にご利用いただけるサービスとして提供しています。日本は「生理の貧困」というものが金銭的な貧困という狭義にとらわれすぎ、その結果、OiTr(オイテル)のご利用に戸惑いを感じさせてしまっていることを残念に感じています。「生理の貧困」とは、生理用品はもちろん、清潔な水や衛生環境、生物学と生殖に関する教育など、生理に最低限必要なものにアクセスできないことです。そんな生理に伴う心や体の負担を軽減できればと、願い生まれたサービスがOiTrです。ぜひみなさまに気軽に使っていただければと思います。

女性のなかには、コンビニで生理用品を買いたくても男性店員の前で買うことができない方、会社でトイレに行く際に生理用品をポーチに入れて持ち歩くたびに周囲の男性社員が気になってしまう方がいるとも聞きます。私たち男性が「とくに気にならない」と彼女たちに言っても、その悩みの解決にはいたりません。私たちは、彼女たちが少しでもストレスを感じずにいられる環境を作ることがもっとも大切だと考えています。そのため、少しでも多くの施設で OiTrをご利用できるように設置を進めています。

――見かけたら使ってみたいと思います。一方で、無料で利用できるということで利用しすぎてしまう人などはいないのでしょうか?

それらの問題にも対応できるよう、設計しています。スマートフォンを使うことで、必要以上に利用されることがないよう2時間ごとに1枚、25日間で7枚までの使用と制限をかけています。このことにより、いま必要としている方に行き届くようにしています。

――女性の生理周期にあわせて設計されているんですね。でも初回にユーザー登録をするのはちょっとハードルが高いように感じるのですが…?

急ぎで必要なときにアプリをダウンロードしてユーザー登録するのはさすがに面倒だと思います(笑)ですから最初の1枚はアプリさえダウンロードしていただければユーザー登録なしでご利用いただけるようになっていますので、安心して利用していただきたいです。

 
ビジネスで社会課題を解決したい!その思いからスタート
 
――サービス誕生のきっかけについて教えてください。

もともと私は新規事業の開発を専門にしていました。一度早期退職しのんびり過ごしていたとき、弊社代表の小村 大一に出会い、「何か一緒に新しいことをやろう」と意気投合。どうせやるならば、「世の中に役立つことをやりたい!」というのがお互いに共通した想いでした。そこで、「社会課題をビジネスで解決する」というテーマで動きだしました。

これまで、非営利団体やボランティアの方々が社会貢献活動を積極的に行っています。この方々の活動はとても素晴らしいことだと思いますが、それと同時に、これらの活動だけではサステナブル(持続可能)な社会の創出には難しいとも考えています。

私たちはサステナブルな社会を実現するためには、新しいモノサシで社会課題をとらえていく必要があると感じました。それが「社会課題をビジネスで解決する」ということでした。つまり、ダイレクトに社会課題を解決するための事業として取り組み、かつ経済的価値を得られる事業であるべきだと考えたわけです。

少子高齢化や社会保障費の増大など、さまざまな社会課題があるなかで、私たちが目をつけたのが「ジェンダーギャップ」です。女性たちの生き方は多様化し、人生の選択肢も増え、生きやすい社会になったように見えていても、掘り下げていくなかでそれらはあくまでも表面的なことであることが分かりました。

日本はまだまだ男性社会であり、女性が生きやすい社会を実現するために何が必要かを考えていたところ、「フェムテック」という市場を知りました。女性ではない自分からすると分からないことが多く、色々と試行錯誤するなかで、ネットである女性の声に出会いました。

「トイレットペーパーはトイレに常備されているのに、なぜ生理用品は常備されていないの?」

この問いかけに、「当事者ではない私でも女性が抱えている悩みを受け止めることができ、同時にそれを解決することも可能かもしれない」と感じたことが最初のきっかけです。

――ビジネスで社会課題を解決するということですが、事業を行う上で気をつけていることを教えてください。

当然のことですが、ビジネスとして収益をあげなければならないということです。その結果、女性たちが生きやすい社会を創出し、さらにサステナブルな社会を実現できると考えているからです。

OiTrが無料で提供する生理用ナプキンは、OiTrのデジタルサイネージに広告出稿いただいています企業さまの広告費で賄っています。他の広告媒体同様に広告費だけで社会課題を解決する一助になります。実際に施設が衛生管理面も考え生理用品を提供する環境を整えるには、かなりの費用がかかります。それを最小限の費用でOiTrを導入ができ利用者のみなさまにサービスを提供ることが可能になります。

さらに、OiTrの利用者においても、広告をみていただくことで自分だけでなく他の利用者がナプキンを無料で使用することにつながります。企業、利用者の役割が自らの利益につながり社会課題の一つを解決できる手立てとなっている。これがOiTrのエコシステムです。

――誰もが特別なことをしていないからこそ、無理なく継続していくことができる。素晴らしい循環のシステムですね!

トイレに当たり前にある存在を目指して
 
――生理の問題は男性には理解されにくいように思いますが、サービスを広めるうえで大変だったことはありますか?

企画段階で協力してほしい企業さんに出向くわけですが、サービスを説明する私たちが男性であり、さらに相手も男性の方々がほとんどで、正直に言って話が噛み合わず、「何言ってるの?」という感じでしたね(笑)また広告費で賄うというビジネスモデルに対して、トイレというロケーションで広告を流すことにネガティブな意見も多くありました。女性の方が同席されるケースもありましたが、隣に上司の方がいる手前、なかなか率直な意見を聞くことができませんでした。

また広告営業を行うために広告代理店にも、「広告主がつかない」「うまくいかないよ」など、広告事業として収益が上かがらないのではないかと悲観的に見られることもありました。さらに設置いただく施設の企業にも、なかなかサービスの必要性を理解していだだくことができませんでした。

その渦中において、私たちに耳を傾けてくれたのが、日本を代表するデベロッパーの三井不動産様でした。

あの「三井ショッピングモールららぽーと富士見」様がOiTrの実証テストの場として手を挙げてくれたのです。本当に涙が出るくらい嬉しかったです。このことにより、OiTrは大きな一歩を踏み出すことができました。おかげさまで現在は、商業施設や自治体の施設、空港、大学など93施設 1,215台(2022年3月25現在)にも広がっています。https://www.oitr.jp/spot/

――実証テストではどんな声が多かったのでしょうか?

「憂鬱な生理が少し嫌じゃなくなるのでもっと日本で広がってほしい。」「ナプキンが出てくる音が心配でしたが、カサカサとか全く音が無いのが感動でした。」「個室にあるのが素晴らしい」「自分は‟貧困”ではないので使っていいのか悩んだ」などのお声をいただきました。なかには「有料にしてもいいのでは?」という声もありました。私たちとしてはトイレットペーパーのように生理用ナプキンを当たり前に設置する環境づくりが目的だったため、有料にする選択肢は全くありませでしたが(笑)

――確かに有料でもありがたいサービスには変わりないと思いますが、生理用品を持たずにトイレに行ける安心感は女性にとって大きなことかと思います。

これからのより良い社会を創出するためには、これまでの固定概念を捨てて、新しいモノサシで社会課題をとらえていかなければならないと私たちは思っています。トイレットペーパーが常備されていることが当たり前であるように、OiTrが設置されていることに何も感じなくなるくらいに、トイレに当たり前にある存在になれることを願っています。

 

★飯崎さんの好きな言葉★

「The goal in life is not to try and live forever, but to create something that will forever in people’s hearts.」

人生のゴールは、けっして長生きをすることなんかではなく、人々の心の中に永遠に残る何かを生み出すことなのだ。

 

ビジネスで社会課題を解決する「OiTr

 

share
page top