その疲れ、更年期じゃないかも!? 肩こりや体の重だるさを改善する、筋力のつけ方を理学療法士の岡崎倫江さんに聞きました【アラフォー女子のからだ百科:肩こり・姿勢①】

こんにちは。女子部JAPAN(・v・)のアリです。
肩こりや腰痛、むくみ、冷え、体のだるさなど、いつも何かしらの不調を抱えている…という人は多いのではないでしょうか。
病院に行くほどでもないし、「年のせいだから」「更年期のせいかも…」と、これらの不調を仕方ないと受け入れがちなアラフォー世代。でも、それは単に筋力が落ちているせいだからかもしれません。諦めるのはまだ早すぎます!
そこで今回は、理学療法士であり、(株)キネティックアクト代表でもある岡崎倫江さんに、肩こりや体の重だるさを改善するための筋力のつけ方をお聞きしました。
<お話を伺ったのは…>
医学博士・理学療法士
岡崎倫江さん
医学博士、理学療法士、食コンディショニングトレーナー、(株)キネティックアクト代表取締役。理学療法士の視点から、「カラダの仕組みを整える」商品や運動方法を開発。“動きを治療する”ことで痛みや不調の改善を目指す『プライマリメディカルサポート』を運営。女性のフィジカルケア、女性の傷害・予防を専門とする。最近では、女性のためのカラダコンディショニングセミナーを開催中。
凝り固まりと筋力低下が原因かも!
岡崎さんによると、女性の体の不調を訴える声のなかでも「体が重だるい」「いつも疲れている」が圧倒的に多いとのこと。そしてもっと厄介なのが、それが普通の状態だと思いこんでいることだと言います。
体が重だるかったり、疲れを感じたりするのは、実は体の凝り固まりが原因であることが多いそう。さらに、凝り固まることで、むくみや冷え、肩こり、腰痛などの不調を引き起こす根本の原因にもなってしまっています。
「こういった不調って、すごく気づきにくいんです。さらに、家事や仕事など、目の前にやるべきことがあって忙しくしていると、体が重だるいなどの不調をそのままにしてしまいがち。そのうち、症状が悪化してすごく痛くなったり、動けなくなったりしてから、病院や治療院などに駆け込むという人が多いですね」
凝り固まる原因はさまざまですが、同じような体勢を長時間続けてしまうことも一因。特にデスクワークなどで長時間、同じ体勢でパソコンの前に座っている人は、肩やおしりなどが凝り固まっている人が多いようです。
※正しいデスクワークの姿勢は、「アラフォー女子のからだ百科:肩こり・姿勢②」でご紹介します。
そこで岡崎さんに、仕事の合間に簡単にできる、凝り固まりのほぐし方を教えてもらいました。
<座ったままできる、凝り固まりをほぐす簡単エクササイズ>
「デスクワーク中など、モニターを見るのに必死で、背中が丸まっている人は多いですよね。背中が丸まっている状態が続くと、体の側面や背骨側が凝り固まってしまいます。
そこで、意識的に体の側面を伸ばす運動を取り入れましょう。体を正しい位置に起こしやすくなります。仕事の合間などのリフレッシュも兼ねて、このエクササイズをやってみるのがおすすめです。立った状態でも、足をしっかり閉じれば同じようにできますよ」
体の側面は、肩こりや腰痛などと比べて、トラブルが比較的少ない場所。まずは、ピンポイントで痛みのある場所ではないところから伸ばし、柔らかくしてあげるのがおすすめです。
「風邪など病気以外の時に「体が重たいな」「だるいな」「動きにくいな」と思ったら、体が凝り固まっているサインです。なんとなくの不調を抱えている方は、自分の体が凝り固まっていることに気づいてほしいですね。そのときに、“気持ちで頑張る!”ではなくて、物理的にその部分を柔らかくする方が、解決も断然早いんです」
凝り固まりを解消したら、次は衰えつつある筋力を少しずつつけていきましょう。
体をしっかり支えられる筋力が必要!
女性の筋力は、何もしなければ20代ぐらいから徐々に低下していくのだそう。20〜30代の頃は、筋力の貯蓄もあり、また年齢的なこともあって、痛みが出ても一時的なものが多いので、そのまま何となく過ごせてしまいます。そして40代を過ぎたあたりになると、いろいろな症状がジワジワ出はじめ、四十肩など急な痛みが出てくるようになります。
女性の体はもともと筋力が付きづらく、脂肪が多いのが特徴。また、一か月周期のホルモンの変化、骨盤が広く関節が緩い骨格など、妊娠・出産に適した体になっています。関節が緩いことで本来の可動域よりもさらに動いてしまうことがあり、動きすぎてしまうことを筋力で支えきれなくて、体の痛みが出てきてしまうことがあるのも女性の特徴だと言います。
「人が生活する上で大切なのは、体の真ん中が安定して、背骨のねじれがなくまっすぐ使えること。ですが、実際にはお腹とおしりの力が全然ない人がすごく多いですね。先ほどのエクササイズなどで凝り固まりを解消して体を柔らかくし、適度な筋力をつければ自然とバランスも整い、トラブルは少なくなるはずです」
痛みが出てしまうと、それを治すのはひと苦労。そうならないためにも、日頃から正しい筋力をつけておくことが大切です。岡崎さんによると、筋力の低下を防ぐ準備は、20〜30代の頃からはじめても早すぎということはないそう。もちろん、40〜50代を迎えている人でも、これから行えば改善が期待できると言います。
<立ったままできる、筋力がつく簡単エクササイズ>
こちらのエクササイズは、毎朝5回を1セットで行ってみましょう。股関節まわりとお腹の筋力をつけることができます。この筋力は体を支えるのにとても大切なので、ぜひ習慣づけてみてください。歯磨きや料理の最中などにやってみるのもおすすめです。
正しく筋力をつければ改善できる
岡崎さんによると、さまざまな痛みや不調が出てきたときに、それが40〜50代の更年期の時期に重なっていると、更年期のせいだと決めつけてしまう人がとても多いのだそう。「すべての症状を更年期と結びつけてしまい、何年も我慢するというのは、とてももったいない」と言います。
「みなさん、体の重だるさや疲れやすさ、痛みなどを『更年期だから』という合言葉で済ませてしまいがちです。でも、そもそも筋力の低下によって、体をしっかり支えてきれていないのが原因である可能性が高いです。きちんと対処の方法があるので、それをおこなった上で、残った症状が更年期による症状かもしれないと疑うのがいいのではないでしょうか」
また、更年期障害の症状は運動をすると軽減するという話もありますが、激しい運動は必要ないとこのこと。先ほど紹介したような、ちょっとした動きを習慣づけて毎日行うだけで、大切な筋肉はきちんと育つと言います。
「体の不調によって気持ちが落ち込んでしまうと、それを変えるのはなかなか難しいですが、体はエクササイズなどで変えることができます。しかも、本当にちょっとした動きでも、体は間違いなく少しずつ変わっていきます。さらに、体を動かすことで気持ちも自然と上がっていくこともありますよね。私のところに通っている50代の方も、体のコンディショニングを行うことで、元気になったとおっしゃる方が多いです」
体が重だるかったり、やる気が出なかったり、だるさがあるとどうしても年齢や更年期のせいにしてしまいがち。でも、きちんと原因があり、対処できる方法があるのであれば、試してみたいですよね。体が変わっていくことで、気持ちも上向きに変わってくるかもしれませんね。
次回は、デスクワークの正しい姿勢を岡崎さんにお聞きします。