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【ライムスター宇多丸のお悩み相談室422】高校1年生の息子への性教育、大事だとわかっているけど恥ずかしく、まだ向き合って話せていません。

【今週のお悩み】

高校生1年生の男子の母です。去年まではまったくのお子ちゃまだった息子も、高校生になり精神的・身体的にぐっと成長したと同時に、交友関係も急に広くなり、どちらかというと苦手だった女子とのおしゃべりも楽しめている様子です。それ自体は親として嬉しいことなのですが、ふと心配になってきたのが、交際そしてその先の性教育。生理など女性の体についての理解とか、恋人との性行為に対しての責任の持ち方など、大人になっていく彼に伝えるべきことだと頭ではわかっていますが、なんとも恥ずかしい気持ちがあるのも事実で、情けないのですがまだちゃんと向き合って話したことはありません。宇多丸さん、こんな親ってダメですよね? 息子にどのように伝えたら良いか、アドバイスをお願いします!

(ぽん太・44歳・東京都)

 

 

宇多丸:性教育、特に男子にこそ性に対するきちんとした認識を持たせるようにする、ってことの重要性、僕も近年になってようやくわかってきた次第でして……

ちょっと前に観たニュースでも、どこかの学校で、男子生徒にもしっかり女性の生理について教えて、どのくらいの大変さがあるものなのかを疑似体験させる授業をしたら、みんなめちゃくちゃちゃんと理解して、女子にもすごく優しくなった、みたいなことが報じられていて。

つまり、正攻法で正しい知識を与えるのが一番だった! 

明らかにその子たちは、僕とかの世代よりずっと、マシな男性になってってくれそうなわけじゃない?

なんだ、普通にそれで良かったんじゃん!と思っちゃいましたよ。

教育を充実させれば未来は暗くない、という最高に真っ当な結論。

たとえば、ちょうどこの秋に「アトロク」木曜パートナーのTBSアナウンサー宇内梨沙さんが推薦図書として選ばれていた、太田啓子さんの『これからの男の子たちへ :「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(大月書店)という本があって、これなどまさに相談者のニーズにドンピシャな一冊と言えるかもしれない。

ぽん太さん、ぜひこれ読んでみて! たぶんそれが今回の正解だと思う(笑)。

逆に、かつてのように、性にまつわることとなると教育者側もまるでタブーのごとく恐る恐る扱ってるような感じ、あまり意味がなかったどころかちょっと有害ですらあったのかもな、とは思いましたね。

女子だけ別の教室に連れてかれて、いかにも秘密めいた授業を受けてたりさ。

 

 

こばなみ:生理の話とかをするときですよね。小学5年生くらいでやりましたっけね。

 

 

 

宇多丸:男子は当然そこに当事者意識など持ちようがない、どころか、ゲスい興味本位にしかなりようがないじゃないですか、そうやってなんとなく後ろ暗そうに隔てられてしまうだけだと。

いっぽうでは、ポルノ的なイメージや情報は今以上に無造作に世にあふれている状況でもあったわけですし。

 

こばなみ:宇多丸さん自身はどうだったんですか?

 

 

 

宇多丸:いやもう僕自身は、ぜんぜんです! 旧世代もいいとこ。

親とそういうことを真正面から話し合うとか、いまだになかなか考えづらいくらい。

 

 

こばなみ:たしかに。私もほとんど親からはなかったな。

 

 

 

宇多丸:知人のなかには、お子さんたちにものすごくオープンかつきちんと性教育をされている、という方もちょいちょいいたりして、たいしたもんだなぁと感心してますけど。

ただ、ぽん太さんのように、今もそこに恥ずかしさや気後れを感じてしまうという人たちも、現実としてはむしろやっぱり、まだまだ多数派なんじゃないかとも思うし。

その意味では、自分だけが遅れてるんじゃないかとか必要以上に引け目を感じることもないですよ、きっと。

みんなもたぶん大半は、今のところまだそんなもん!

で、僕の素人考えなんで間違ってたらごめんなさいですが、性教育はやっぱ、公教育の枠組み内、要は学校でしっかりやったほうがいいんじゃないかなぁ、とは思うんですけど。

各家庭の責任、ってことにしちゃうと、家風によっては結局、偏った認識が温存されてしまうことが多くなってしまったりもするんじゃないかなぁと……つまりこれは、家庭単位じゃなくて社会全体の問題、社会規範の話でもあるわけだから、と僕は考えているんですが。

親子間で改めて性の話をがっつりする機会なんか、やっぱなかなか作りづらいよ!ってところも当然多いはずでしょ。

 

こばなみ:子どもも親に言われるの、気まずいですしね。

 

 

 

宇多丸:あと、親から言われると素直に聞けなくなっちゃったり、もあるじゃない?

だからやっぱり、公教育のなかで……それも、これまでのように思春期になってからいきなりじゃ、当事者性が高すぎて羞恥心もマックスになってしまうし(笑)、すでにあまりよろしくない固定観念や偏見も根づいちゃってるかもしれないわけだから、もっと小さいとき、それこそ小学校低学年とかから、ほかの科目と同じく最低限の社会常識として教えてゆく、って感じじゃダメなのかなぁと僕個人は思うけども。

特に僕の世代とかは、なんにつけても男子女子を分けて「らしさ」に押し込めて済ますような考え方が、教育現場でもバリバリの主流でしたから。

女性の生理についても、「俺らからあれほど隠すくらいなんだからきっと恥ずかしいものなんだろう」「口も力も強くていつもは歯が立たない女子たちの弱点らしいから、これは絶好のチャンス、からかってやろう!」みたいな、いま思えば最悪の悪循環しか生まれてなかったですよ、少なくとも僕らの小学校では。

 

こばなみ:だから私、女子中に行ってけっこう楽になりましたもん。

小学校のときに、生理になってもじもじしてたり、バレちゃいけない、みたいに思ってたのが、なんだったんだろう?ていうくらいなくなった。でも本当はそれ、女子校あるあるになってるのが変なんですよね。

 

 

宇多丸:ねぇ。

それもこれも、特に男性は女性特有の負担やリスクなどについて正しい知識を得る機会もなかったし、なんならその必要もないとされてきた、かつての社会の在り方から来ていたものだと思うんです。

それゆえ、性というものに対して圧倒的に無責任なスタンスを、歴史的に男たちは取り続けてきたし、それでも許されると思ってきた。

だからやっぱり、早めのしっかりした性教育、大事なのは間違いないですよね。

それは、男の子たち自身のためにも。

それこそ、いつかなんらかの性的な加害者に成り果ててしまわないように、ということでもある。

しかしぽん太さん、とはいえ公的システムの完全な充実を待ってばかりもいられないなか、さしあたってどうすべきか、ですよね……

 

こばなみ:これ、お父さんに話してもらうのはどうですか?

 

 

 

宇多丸:そうね。お父さんとの関係性にもよるけど、たしかに男同士ならまだ性的な話題も話しやすい、というのはあるかもしれない。

ただ、まさにその「男同士なら話しやすい」という、要は結局ホモソーシャルな枠組みのなかでこの件を処理してしまうのが、果たして本当に女性に対してフラットな理解を深めることになっていると言えるのか、ちょっと疑問に感じる部分もなくはないな……

まぁ、ぽん太さんの書き口から想像する限り、息子さん、わりとまっすぐないい子として育ってきてるんだな、って感じもするから、たぶんその、思春期だけどそんなに扱いづらい子ってことでもなさそうなのが、ちょっと希望ではありますよね。

 

こばなみ:ちゃんと真摯に聞いてくれるといいですよね。

 

 

 

宇多丸:要はさ、これって、決して性のことに限った問題じゃなく……

あなたがこれからしてゆくひとつひとつの選択、そのすべてが、他の人から見た「あなたという人間」をかたちづくってゆくんだよ、って話じゃないですか。

そこで何を選ぶかはあなたの自由ではあるけども、自分自身に恥ずかしくない人間になっていってほしいと、親としては思います、と。

で、たとえば、女性に対して。

どのような考え方をして、どのような接し方をする男性に、あなたはなってゆくのか。

もちろん今からなら、敬意と責任感をしっかり持って女性に接する、優しくてかっこいい男になることもできる。

逆に、女性を結局モノのようにしか見られないような、セクシストや性的加害者に堕してしまう可能性だって、余裕である。

もちろん仮に万が一そうなったとしたら、親としてこれ以上悲しく残念なことはないけども……

さてキミは、どちらを選ぶ? どちらを目指す? 

まさしく、The Choice Is Yours……ってそんな話の流れ、どうですかね?

 

 

こばなみ:今、聞いててけっこう感動しちゃいました。親からの卒業式!? 贈る言葉!?

恥ずかしさもちょっとぶっ飛んできました。

性的にこうしちゃダメとかじゃなく、なぜそうかという、大きなところからお話いただいたので。

 

宇多丸:大筋としてはまぁ、おそらくそういうことだよね。

もちろん、そこから先、避妊をがっつりする意味や必要性など、もっと具体的に話しておくべき件については、やはり多少気恥ずかしくともきっちりしておかないといけないでしょうな、というようなことに変わりはないんですが……

ちなみにうちの家族は、恥ずかしながらそんな話ができる雰囲気では、まーったくありませーん!(笑)

 

こばなみ:うちも~。

 

 

 

宇多丸:まぁとにかく、いっちょまえのオトナになるために絶対必要な「他者」への配慮と責任、というような、より大きな意味での教育の一環、と考える感じですかねぇ。

とりあえず彼女を直接紹介されたタイミングとかが、一番の話しどころかもしれませんね!

しかしホント、恥ずかしがってる場合じゃないとは重々わかりつつ……という感じ、むちゃくちゃわかりますよ。

とにかくまずは、『これからの男の子たちへ』を読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

こばなみ:こうして話していると、自分の意識もアップデートしていきたいなと改めて思いますね。

今年最後の回も、またまた勉強になりました!

2023年も引き続き、連載していきますので、みなさまどうぞよろしくお願いいたします。

それと! 

お悩みも募集中ですので、2022年を振り返っている際などになにかあれば、ぜひご応募いただけたらと思います。あとは年始に家族や親戚と揉めたときとか……(苦笑)。応募はこちらです!!

 

 

 

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ライムスター・宇多丸/日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。http://www.rhymester.jp/

 

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女子部JAPAN(・v・)こばなみ/2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成、現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN」と改名し、企画・運営に携わる。★2023年からは、働く女性リーダーを応援する「F30プロジェクト」を本格始動! 彼女たちの仕事上のコミュニケーションの課題解決の方法や実態、女性活躍支援に取り組む企業などを取材しています。よかったらチェックしてみてください。こちらどうぞ!

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