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【おしえてセンセイ!】産婦人科医 吉野一枝先生に聞いた!(2)ピルなどのホルモン製剤、飲むのは不安だと思っていませんか?

女性ホルモンの調子整えるピルをはじめとしたホルモン剤。なんとなく「飲むのがこわい」「薬は自然じゃないし……」と思ってしまう人も少なくないのでは? 実は、女子部JAPAN(・v・)編集部でも、そんな声がチラホラ。そこで、女性の一生の健康の啓発にも積極的な産婦人科医&臨床心理士、吉野一枝先生にピルやHRT(女性ホルモン療法)についてお話を伺いました。

 

女性ホルモンのバランスをコントロールすることは、女子の健康をコントロールすること!

「『ピルなどのホルモン剤を飲むことは自然じゃない』と抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、では、女性の体にとっての自然とは? 本来、生物学的に言えば女性の体にとっての自然とは、子どもを何人も生むこと

 

でも、現代はそうではないライフスタイルを選ぶ人が増えましたよね。排卵や月経の『お休み』の期間がないことが、さまざまな不調の要因にもなっています。

 

さらに、今は平均寿命も伸びて、閉経後の時間も長くなっているんです。閉経後は、女性ホルモンがほとんどない状態が続きます。女性ホルモンは健康ホルモンとも言われ、心身のあらゆるところを守っているもの。だからこそ、必要に応じてホルモン剤を上手に使って、PMSや更年期障害などの症状を軽減したり、予防医学の視点からケアしたりといったことも大事なんですよ』と吉野先生。

 

日本はピル後進国!? 避妊だけじゃない、ピルを使うメリットとは?

ピルとは、女性の卵巣で作られる二つのホルモン、エストロゲンとプロゲステロンが少量ずつ含まれた薬。 2つのホルモンが脳に働きかけることで卵巣が眠った状態になり、排卵しないため、避妊薬としても使われます(※服用を中止すればすぐに元の状態に戻ります が、3ヵ月くらいかかる人もいます。また、排卵を止めるだけで月経は止まりません)。

 

避妊薬のイメージが強いピルですが、それ以外にもメリットとして「月経のタイミングをコントロールできる」「月経痛の改善」「PMSや更年期の症状の改善」「肌荒れの改善」などが挙げられます。「もちろんピルにも、他の薬と同様、副作用がないわけではありません。ただ、何もしないでいるのとどちらが自分にとって大切か、医師によく相談しながら考えてみてください」と吉野先生。

 

避妊の方法として二人に一人がピルを選ぶと言われるフランスをはじめ、ピルはグローバルでみると身近な薬。なのに、日本はピル後進国。1999年に認可が降りるまでかなりの時間がかかりました。「一方、バイアグラは半年で認可が降りています。日本は女性の声が届きにくい環境だと感じますね」(吉野先生)。

 

いずれ迎える更年期もちょっと安心!? 更年期の女性ホルモンを補う、「塗る」ホルモン製剤も!

主に更年期の治療で使われるHRT(ホルモン補充療法)は、主に更年期を迎え減少していくエストロゲンを補充する治療法になります。いずれ迎える更年期。症状は個人差があると聞いてはいるものの、自分にどんな変化があらわれるかは不安の種ですよね。

 

でも、「誰もが通る道だから仕方がない……」と諦めるのではなく、薬で軽減できることを知っておくだけでちょっと安心できます。

 

「更年期時期からHRTをしていくことで、その後の老年期での骨粗しょう症や動脈硬化の予防も期待できるんです。また、HRTが保険適用になるのは更年期だけですが 、老年期においてもエストロゲン低下によって皮膚や粘膜のトラブルが増えるので、継続してホルモン剤を使い続けるかたもいます。もちろん減量はしていきますが、80代、90代で取り入れている患者さんもいますよ」と吉野先生。

 

なお、HRTでは飲み薬でなく「塗る」ホルモン剤もあるのだそう。内服薬のように胃腸を通過しないので、副作用が少ないと言われています。一緒に話を聞きに行ったこばなみ部長はじめ、編集部員も興味津々でした。

 

<更年期の症状とは?>

40歳を過ぎ女性ホルモンエストロゲンの分泌の低下が進むと、心身にさまざまな不調が現れる「更年期障害」。

「月経量や日数の変化」以外にも、頭痛、めまい、耳鳴り、物忘れ、不眠、疲労感、動悸、息切れ、皮膚や粘膜のかゆみや乾燥、関節痛、便秘、下痢、のぼせ、ほてり、発汗など、症状も多岐にわたります。不安、イライラなど心の状態にも悪影響を及ぼしてしまうことも。

 

がまんしすぎない。がんばりすぎない。
女性ホルモン製剤を上手に活用するという視点を

ここまでピル、HRTについてお伝えしてきましたが、「こういったことで薬を飲むのは(病院にかかるのは)ちょっと大げさな気がする」という固定観念が、特に日本では強いように感じます。でも、ライフスタイルが変わり、さらに世界一の長寿国で暮らすからには、あまり語られてこなかった女性の身体の変化を知って、自分の人生をケアしていく考えも大切ですよね。

 

「今は知ろうと思えば、何でも調べられる便利な時代。もっと積極的に女性の身体のこと、薬や治療法のことについて、知ってほしいんです。

 

ただし、ネットの使い方には気を付けて。『ピルは怖い』と思って『ピル 怖い』で検索したら、当然そういう考えを持った人のサイトばかりが出てくるわけですから。医療関係者じゃない、誰が書いたかわからないような情報を鵜呑みにしないで。日本産科婦人科学会なども有益な情報を多く出しています。『公式』に当たるようにしてくださいね 。そして、分からないことや不安なことが相談できる、かかりつけの産婦人科医を持つことも大事。信頼できる先生をパートナードクターにすることで、正しい情報にアクセスできるはず」と吉野先生。

 

ネット上の情報は「誰が発信した情報なのか」を意識すること。そして、何でも相談できるかかりつけの婦人科医をもつこと。信頼できる情報を上手に手に入れながら、女性ホルモンと上手に付き合っていきたいですね。

 

 

<教えてくれたセンセイ>

よしの女性診療所 産婦人科医・臨床心理士

吉野一枝先生

高校卒業後、今で言う「フリーター」や、コマーシャル制作の会社勤務を経て、

29歳の時、医学部受験を志す。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部産科婦人科学教室に入局。 母子愛育会愛育病院、長野赤十字病院等に勤務後、2003年によしの女性診療所を東京都中野区に開院。『40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本 』(永岡書店)など著書多数。

 

文/石徹白未亜 イラスト/北野彩

 

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