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【おしえてセンセイ】産婦人科医 吉野一枝先生に聞いた!(3)「初潮(初経)が早いと閉経も早い」はウソ! 生理にまつわるホント&ウソ

女性の一生の健康の啓発にも積極的な産婦人科医、臨床心理士である吉野一枝先生に、二回にわたってお話を伺っています。(一回目二回目)。あらためて思うのは、この「子宮・卵巣界隈」のことはなぜかウワサや思い込みが広がりがちだということ。吉野先生のその真偽をチェックしてもらいました。健康は正しい知識から。あなたも思い込んでいないか、チェックしてみましょう!

 

Q.初潮(初経)が早いと、閉経も早い?

A. ウソ

 

あればあったでわずらわしいけど、卒業してしまうのもさみしいのが生理。初潮 (初経)が早かった人は、もしかして卒業も早いと心配しているのでは? 「おそらく『一生における月経回数は決まっている」という思い込みによると思われますが、そんなことはありません』と吉野先生。

むしろ、初めて月経になる年齢が早いということは、それだけ卵巣が活発な証拠で、逆に遅くまで月経が続く可能性があるとも言えるそうです。

 

Q.ピルを飲むと、女性ホルモンが増えて、婦人科系の疾患になりやすくなる?

A. ウソ

 

この誤解をとくには、まず、ピルの役割を理解することが大事。ピルは女性の卵巣で作られる二つの女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンが少量ずつ含まれた薬で、これらのホルモンが低めで一定のレベルを保つので、脳はホルモンが出ていると勘違いをして、それ以上ホルモンを上げないように指令を出します。そうすると、卵巣は眠った状態になって排卵をお休みすることに。子宮内膜も厚くならず、飲むのを止めるとそれがはがれて出てくる少量の出血があります。

 

「エストロゲンの量が多いと、がん細胞を増殖させてしまう可能性が高くなると言われていますが、ピルは逆にエストロゲンとプロゲステロンのバランスをコントールするもの。エストロゲン量が上昇しないことで子宮内膜(子宮内膜がはがれるのが月経)を薄い状態にし、経血の量を減らし、月経痛の負担を軽減する効果もあるため、月経痛が重い人の治療薬として使われることもあります」と吉野先生。

 

逆に知っておくべきは、正しいピルの副作用。「事前に分かっていれば、いざ症状があらわれてもあわてないで対処ができます。最初は副作用を強く感じる方もいますが、しばらくすると落ち着く場合が多いんですよ」(吉野先生)。婦人科系の疾患になりやすくなるというのは誤解で、さらに卵巣がん、子宮体がん、大腸がんなどは服用することで減ると言われています。

 

「ピルの主な副作用は、飲みはじめに出ることがある「不正出血」「吐き気」「胸のはり」「頭痛」「下腹痛」など。2〜3ヵ月すると消失します。吐き気止めや鎮痛剤などを併用することもできます。また、まれですが、重篤な副作用として「血栓症」があります。これは血管の中で血液が固まってしまい、それが心臓から全身に飛んでしまうと、肺塞栓など危険な状態になります。ただ、ピルでの血栓のリスクは、喫煙や妊娠に比べればかなり低いです」と吉野先生。

 

服用を始めるにあたっては医師と相談しましょう。

 

Q.生活が不規則だったりストレスが多いと、更年期の症状が重くなる?

A.  ホント

 

不規則な生活になりがちな私にとっては、耳の痛いお話ですが……。「更年期の症状があらわれるのは、女性の40~50代というのはさまざまなライフイベントが重なる時期でもあります」と吉野先生。働いている人なら責任ある立場を任され、上司と部下の板挟みになったり、子どものいる人なら思春期という難しい年ごろを迎えるとストレスが増えたりすることも。また、親が高齢化するので、介護や死亡の問題なども浮上してきます。

 

「真面目な人ほど病院に行くほどではないとガマンしがちですが、日本女性に多くみられる生真面目さ、いい妻、いい母、いい娘であろうとする傾向が症状をより重くしていると感じていて、心配なんです」と吉野先生。

「エストロゲンの欠乏」が更年期障害の直接的な原因ですが、アラフォー・アラフィフ世代が抱える大人のストレスも、その症状に拍車をかけているのです。日頃からガス抜きしながら、自分のストレスと上手に付き合うような工夫も、更年期までに身につけておくとよいのかもしれませんね。

 

Q更年期の症状は、遺伝する?

A. ウソ

 

「母親が更年期でつらそうにしているのを見て、自分もああなってしまうのではと不安にかられている人は多いのではないでしょうか。でも、更年期は遺伝しないんです」と吉野先生。ただ、「卵巣機能」については遺伝性があるので、母親が女性ホルモンに関連する病気(卵巣がんや乳がんなど)にかかっている場合は、娘がかかるリスクも高まるそう。

 

「更年期障害」に関して言えばストレスによる影響の方が大きく、「どんな生活をしているか」「どんな性格なのか」の方が症状に関わってきます。まったく不調が出ないまま更年期を終える人も中にはいますが、つらい時期が長引く人もいます。

 

正しい情報をもって、自分の身体は自分で守ってあげたい!

 

三回に渡って吉野先生のお話を伺ってきましたが、一生付き合う自分の大切な体なのに、案外知らないこと、誤解していたことが多かったのではないでしょうか。

20代のころのように、体力もあって、自分のことだけをがむしゃらにやっていればいい、という状況ではないのが責任世代のアラフォーです。「自分がガマンすればいい」でストレスをためてためて大爆発、では自分が気の毒ですよね。正しい知識を身につけ、活用することでプレ更年期、更年期を乗り切っていきましょう!

 

 

<教えてくれたセンセイ>

よしの女性診療所 産婦人科医・臨床心理士

吉野一枝先生

高校卒業後、今で言う「フリーター」や、コマーシャル制作の会社勤務を経て、

29歳の時、医学部受験を志す。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部産科婦人科学教室に入局。 母子愛育会愛育病院、長野赤十字病院等に勤務後、2003年によしの女性診療所を東京都中野区に開院。『40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本 』(永岡書店)など著書多数。

 

文/石徹白未亜 イラスト/北野彩

 

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